京福平成手記

多趣味リーマンの実体験アーカイブ

試乗インプレ 高雄PW

3/12 高雄PWにてオーナー様のご厚意や要望などにより計4台の試乗をさせていただいた。

まずなによりはじめに「ありがとうございます」。

圧倒的に感謝しております。

現代のレンタカーで借りることができる車であればアレなのだが、何らかの形で弄った趣味車や絶版車の試乗というのはとにかくオーナー様のお許しや希望が無ければ叶わない。

大変貴重な価値のある時間、機会である。

イチ個人である私にその機会を作っていただいた皆様に圧倒的に感謝しつつ今回はレポートしていく。

多少生意気だと感じても楽しんで見ていただければ助かる。

 

※感謝しているからこそ、忖度なしに感じたままを自分の言葉でここにアーカイブとして残すことができたら……とも思う(気を悪くしたら申し訳ない)

 

【Car:ZC33S / Owner:LUNA君】

フルR's仕様(だったと思う)、ほぼデモカーな仕上がりの中でオーナーのこだわりを随所に詰め込んだ一台。

カスタム面における足し算引き算、走行性能面をきっちり追い求めた部分を高次元にバランスすることで生まれる佇まいは大人の戦闘機という印象。

少々綺麗すぎる(?)ところにもオーナー様らしさを感じる。

 

この16インチのP1というチョイスもまた素晴らしいなと。

低インチ大好きマンの私にはドストライク。オフセットにこだわることでスペーサなしでインストールしている点、ホイールに合わせたバネの選定とローダウンにしているようで、その抜かりの無さには恐れ入る。

 

実際に乗ってみた印象だがとにかく安心感が凄い。

R'sの足回りの奥深さは本当に上質そのもので、低速時と高速時における減衰の効き方が絶妙。過去にプジョー106にKONIのサスKITを付けた車両に乗ったことがあるが、その猫足に調節機構を増やし、ショートストロークにして乗っているような感覚であった。

流石に突き出したマンホールレベルの大きな段差ではそれなりにシェイクされる。これは下げた車高の問題やストラットという点を考えると仕方がない部分であるが十分許容範囲内かと思う。

P1は下げた方が似合うからね(当社比)

 

高価なOSのLSDを組んでいることもあってLSDにありがちなバキバキという音を立てることなくクリップ初期~中盤どこからでもガンガン掻いて進むことができる。

アクセルオンでオーバー方面の動きになるところを利用し、自在に向きを変えていけるFF車というのは実に楽しい。

乗りごたえもノる速度もかなり高い。

 

ここまでくるとGがかかりきる(フルバンプ)タイミングが早くなるので減衰の味付けかバンプラバー、スタビライザー、ブッシュ関係等を見直すとさらに速く安全な車両になるように感じた。

ブレーキに関しては必要充分であるがこのスペックになると想定より踏めてしまう分、確実に物足りなくなるので耐熱700℃以上の余裕を持ったブレーキが欲しくなる。

ここはオーナー様も感じているようで各部品入荷待ちなのだそう。

フットワークを生かして重量増加を防ぐためにも純正サイズ逆スリットロータと組み合わせで限界を上げるか…はたまた更なる段階を踏まえてBIGキャリパー化……自車より想像が捗るので思考を止める。これ以上イケナイ。。。笑

 

この車の世界にはチューニングという慣れた人たちには少々痒めの言葉が存在するが、確実にその「チューニング」に成功している非常にハイレベルな一台だと感じた。

 

【Car:ZC33S / Owner:SINさん】


普段乗りベースにカスタムを楽しむ仕様だそう。

ステッカーの位置がどことなく平成風味なところはSINさん自身が当時シルビアやワンボックスのカスタムや走りをリアルタイムで楽しんでいた時代があったからなのだそうだ。

ワンポイントのDIY迷彩グリルやアルミではなく鉄製の赤ホイールナットをチョイスしている点など、一部いい意味ガチャつかせて、抑えるところは抑える…

というところがそんな時代をリアルに駆け抜けたオーナー様ならではの個性。平成の残り香を感じる一台である。

 

乗った感想としてはノーマル+α、きちんと町乗りベースで快適に。時に踏みたくなった際に笑顔になることができる仕様だと感じた。

TEINのFLEX ZをEDFCでコントロールすることで快適性と走行性能のバランスを図っている点も普段の使い方、目的としてベストな選択をされているように思う。

 

TRUSTのECUver2の書き換えを行っているからかトルク感は足回りの許容範囲ギリギリな印象で、電子制御がなければスターレット風味のトルクステアとなりそうな雰囲気。

そんな少し危ういやんちゃな部分を作っても日常の刺激として安全に楽しむことができるというところはZC33Sの醍醐味なのかなと。

タイヤをSS595に履き替えたばかりのようでそのやんちゃな感じがよりよく分かったのもタイミングが良かった(?)ということにしておこう。

快適性を重視している分、ピッチングやロールなど姿勢変化は大きめなのでこのパワーをベースにバランスさせるのであれば乗り心地の優秀なswiftスプリングへの変更やスタビブッシュに手を入れてもさらに良くなるかもしれない。

 

あまり弄らないらないとよく口にするSINさんであるがその点に関しては私は一切信用していない。今後もカスタムの行く末を影ながら応援し、見て楽しんでいきたい。

 

次はマツダ車一気に乗り比べ。

マツダスピードアテンザRX-8

 

【Car:マツダスピードアテンザ 2.3L / Owner:山茶さん】

マツダスピードアテンザという今となっては大変レアな車両。

オーナー様の山茶君によるとこれがファーストカー、いわば初めての愛車。

この手のマニアックな車両を選択するところにも驚きだが、そこにもきちんと理由があってグリップ走行を楽しみたいという目的のもとで選んでいるのだそうだ。

個体としても非常に綺麗で車高調、ホイールから手を付けている点も私的には好印象であった。

山茶君の若さゆえのマフラー加工も"らしさ"がでていて良い。若いのであればこれくらい元気に楽しむのがイチバンなのではないだろうか。

 

さてこのMSアテンザ、4WDターボというハイスペックモデルで4人乗車でのインプレとなったわけだがまず初めに感じたのはその実用性の高さ。

大人4人が余裕をもって乗車できるし、静粛性もそこそこ高めなので車内での会話も十分楽しむことができる。その乗車人数であっても苦しさを感じることなく難なく前に出るトルクには素直に感心した。

トルクの出方もインプやエボなどの暴力的な特性ではなくあくまでナチュラル。中速域重視のパワー特性だった。

この辺のマイルドさはファーストカーとしてこれから走る練習をするにあたっても怖さを軽減してくれる上に扱いやすさにも繋がりそう。

 

この車種でなにより驚いたのは回答性の高さ。

2.3Lのヘビー級エンジンが載っているので覚悟はしていたのだが、32Rのようなよっこいしょ…という動きをしない。あくまで弱アンダー程度。

初期応答性も良好で、サクッとハナを出口にむけたらあとは当たり前のように踏み込むだけでガンガン前へ。コーナーの奥で切り増すような抉る操作をするとそこでアンダーが誘発される。

扱いやすいアンダー特性はドライバーにも優しいが、いざというときは無理が効かなくなるので冷静な丁寧な操作が必要になりそう。

その部分を差し置いてもこの車、意外にもハンドリングの良さが一番の売りなのではないかと感じた。

 

ブレーキに関しては正直少し怖さがある。

見た目で言うとチェイサークラスのブレーキロータで元はしっかりしているし通常の町乗りでは不満はでないだろう。ただスポーツ走行時のストッピングパワーは十分満足できるかと聞かれると少し返答に困る。

乗った感じで表現するならば、シチュエーションによってはフルブレーキ一発で終了、ということも十分あるだろう。故にブレーキを残す走り方をしていくことが現状では必要で、ここは上級者向けな印象。

…というところである程度慣れてきたころに悩むのはブレーキになると思う。

安心して止まるためにはメタルパッドの食いつきの良さを導入するなり良いフルードを入れたりという対策をして損はないように思う。

 

総評、素材として非常にいい車であると感じた。

これからの伸びしろの面や使い勝手、デザイン性の良さと走行性能が元から用意されており、若干ネガな部分もきちんとある。改良に頭を悩ませたりテクニックを磨いたりとしなければならない宿題も用意されているので初級~上級者まであらゆる人が楽しむことができるようなそんな気がする。

 

PS.

ナビの取付は要改善である(飛ぶ)

 

【Car:RX-8/ Owner:HAYASHIDAさん】

今回HAYASHIDAさんの8にも試乗させていただいた。
友人に預けられている車両のようだがそんな車でもRE71RSを履かせているという贅沢さ。

排気音に関してはH車のンバァなクラス並みかそれ以上。

とにかくやかましいが走行していると不思議とテンションが上がってくる。

 

今回走ることができる8に初めて乗ったのだが、いろんなジャーナリストやプロの方が言う"ハンドリング"の評価の神髄を感じることができた。

剛性感に関しては確かに低めだが足の動きが確かに良く、凸凹な路面を駆け抜けた際のアームの動きがとてもスムーズ。各部に全然無理がかかっていない印象。

どこまでも路面をつかんでくれるこの絶大な安心感は間違いなく一級のコーナリングマシン。

それと同時に私はこの動きになぜか身に覚えがあるような感覚があった。

 

記憶をたどるとFCやFDなどではなくロードスターコーナリングに似ているのであると気が付く。

剛性感の無さは4点程度のケージを組んだNA~NCのロードスターと似ており、限界の高さこそ確実に8の方が上なのだが動きの方向性がロードスターにそっくりなのである。

違いがあるとすれば路面をとらえることのできるキャパ。この8ならではのリアに対する絶対的な安心感はロードスターでは得られないだろう。

このサイズのボディでここまでのコーナリングをやられてしまうと正直酷というもの。しかしだからこそNAロータリーであっても第一線で活躍できるのだなと同時に感心した。

8500rpmまで回るフィーリングは勿論爽快そのものであるがなにより守備範囲の広い回転域のおかげでヒールトゥをしやすい点も好感が持てた。

 

そしてどこまでも許容するようなブレーキ。コントロール性ももちろんだが確実に止まることができる懐の深さと安心感がある。これはコーナリングスピードに次いでかなり強力な武器になると感じる。

 

とにかく「速い車」の部類であることは確か。

パワーを望まない代わりにその他の伸ばすことができるスキルを伸ばすだけ伸ばし、捨てられないデザイン性と4人乗りという制約から生まれた観音開きドアのせいで多少剛性感が落ちてしまった(ここがロードスターぽさ)…ような車という印象だった。

走りの面に関してはぶっちゃけ欲しいレベルである。

 

 

以上、大変に有意義な経験をさせていただいた4名に改めて感謝したい。

新たな課題や自車のこれからを再考するいい機会になった。

 

ついでにこれらの試乗経験を元に自分の車を表現するのであれば

産廃BODYにタイヤとホイールくっつけて無理くり走っているような、そんな感じ。これらの車と比較すると普通に怖い。

その怖さをスリルや乗りごたえとして楽しんでいるのがロードスター乗りなのかもしれない。。。

 

知らない方が幸せだった

 

とはよく言ったものである。